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ゆれるワイングラス

ワイングラスの共鳴を見る



薄いガラスでできた、チューリップ形のワイングラスはQ値が非常に大きく、共鳴時には大きい振幅で振動する。この振動はストロボ法で可視化することができる。つまり、振動周波数に近い周波数で点滅する光源で照明すると、差の周波数でグラスがゆっくりと振動しているように見ることができる。

動画 (mov) (75MB)

実験上の注意点

  • アンプの入力に正弦波発振器を接続し、出力に接続されたスピーカーの傍にワイングラスを置く。正弦波は通常の音源に比べて平均電力が大きく、アンプやスピーカーに負担をかけるので、長時間の運転は危険である。スピーカーのボイスコイルが焼け切れることがよくある。
  • 共振周波数を探しあてるためには、1 Hz 程度の分解能での調節が必要である。
  • ワイングラスは指で弾いて、10秒以上音が残るものがよい。100円ショップにあるような、ガラスの厚いものは不可。
  • ストロボ光源はファンクションジェネレータに白色LEDを接続すれば、手軽に作れる。こちらも周波数調整を精度よく行う必要がある。
 

CD分光器

CD分光器
CDを使って簡単に作れる分光器です。

準備するもの

  • いらなくなったCD または CD-R (DVD、Blu-ray は不可)
  • ケント紙 (A4、厚さ 0.2 mm程度。例えば、コクヨ セ-KP19)
  • カッター
  • のり (スティックのり)

作り方

  1. 型紙 (pdf) をダンロードする。cd-spectrometer-whole.pdf
  2. ケント紙に両面印刷する。(裏と表の向きに注意。長辺とじ)

  3. カッターで実線に沿って切り抜く。(怪我をしないように)
  4. 型紙の指示にしたがって折線に沿って折る。
  5. のりを使って組み立てる。(CDの表裏に注意)

使い方

  • 分光器を通してさまざまな光源を見て、スペクトルの違いをしらべよう。
  • 蛍光灯
  • LED
  • 窓からの光 (太陽光を直接見ないように)
  • カメラで写してみよう。



 

極小曲面

ストッキングと極小曲面

極小曲面とは平均曲率が0の曲面のことである.たとえば, 座標を用いて曲面を \normalsize z = u(x,y)と表すと,ラプラス方程式
\normalsize\displaystyle \left(\frac{\partial^2}{\partial x^2}+\frac{\partial^2}{\partial y^2}\right)u(x,y)=0
を満たす.つまり,x方向に凸なら(1項が負), y方向はそれに応じて凹こんでいる(2項が正).決して両方一緒に凸や, 凹になることはない.

解析関数の実部, 虚部もそれぞれ極小曲面を定義する.2次元の静電ポテンシャル \normalsize \phi(x,y) も極小曲面とみなすことができる.石鹸膜のような弾性膜もその張力のために極小曲面をなす.ここではパンティーストッキングを使って極小曲面を作ってみよう.

準備するもの

  • 境界条件
     何でもよいが, ここでは木のブロックを使った.
  • パンティーストッキング
     男性の場合, やや入手に困難を感じるかも知れませんね. 銀行強盗さんもコンビニで買っているのでしょうか.

直径9cmの木の円盤に, 1辺3cmの立方体のブロックをおいて境界条件を作成した.立方体の角の部分で, 勾配が無限大になっている様子がわかる. このような特異点が簡単な系で実現できていることは興味深い。

補足

尖点のポテンシャルが、\normalsize \rho^{1/(2-\alpha/\pi)}に比例することは比較的簡単に求められる。\normalsize \rhoは尖った点からの距離、\normalsize\alphaは開き角である。今の例では、\normalsize\rho^{2/3}であり、勾配が無限大であることが分かる。

J.D. Jackson: Classical Electrodynamics, 3rd ed. (John Wiley, 1998)  pp. 75--79.

   \normalsize y = -(-x)^{2/3}
 

静電ピンポン

静電ピンポン

直流電圧を加えた電極間に金属球を置くと,ピンポンのように, 往復運動を続ける.
なぜでしょう?

装置の概観

 
電極はアルミ製で間隔は 1cm,電圧は約3500V.
球は直径 2mm のベアリング,アクリル板の上に細いV字溝を彫って,球が溝に沿って滑らかに動くようになっている.

動画 (等速)

注意: 高電圧を扱うので, 感電には十分注意しましょう.初心者は指導者の下で実験を行なってください.
kitano@kuee.kyoto-u.ac.jp
 

ラトルバック

ラトルバック (ケルトの石) の作り方

  1. 材料として適当な木材を用意する。(プラスチックや石でもよいが加工が大変である)紫檀類は硬質で多少加工が面倒であるが、比重が適度に大きく、また仕上がりも美しいので、ラトルバックには適している。ここでは 38mm x 13mm x 235mm の虎檀の木片 (東急ハンズ, 1300円)を準備した。虎檀は紫檀の一種で黄色と黒の木目が美しい.重さを計ってみると135g あり, 比重 1.16 で水に浮かないことがわかる.

  2. 鋸で、20mm x 13mm x 100mm のブロックを切り出す。木が硬いので、切れ味の悪い鋸では息だけが切れる。

  3. 削りしろをできるだけ少なくしておくために、鋸で山形に整形する。
  4. 鉋で底面を船底のよう(楕円面)に整形をする。ただし, 楕円面の長主軸が, 長辺に対してやや斜め(30度ほど)になるようにするのがポイントである。(ステレオグラム)
  5. 小型の反り鉋 (豆反鉋) が使いやすい。道具に凝るならバイオリン鉋がほしい。

  6. やすりなどで滑らかな面に仕上げる。NTドレッサーが使いやすい。
  7. 実際に回してみて、動作を確認しながら、面の形を調整する。接地点付近の滑らかさが重要である.運がよければ, 双方向バージョンが得られる.
  8. サンドペーパで表面を仕上げる。
  9. 木質が緻密なので、研磨剤(歯磨きなど)で丁寧に磨き上げると、つるつるぴかぴかになる。ワックスで仕上げると完璧である。上等な木を使ってよかったと思う瞬間である.

動画 (mp4) 


参考

木村元さんのページ:何かの本で見かけた, 変なコマを実際見てみたいと思っていたところ,ふとしたきっかけで, 木村元さんから現物(rattleback)をいただくことができました.

H. Crabtree:"An Elementary Treatment of the Theory of theSpinning Tops and Gyroscopic Motion"(Chelsea, NY)
双方向バージョン(右に回すと, 左に反転し, 左に回すと右に反転する) に関する記述がある.

kitano@kuee.kyoto-u.ac.jp
 

Levi-Civita


これは、Levi-Civitaの記号(3階の完全反対称テンソル) \normalsize \epsilon_{ijk}を立体行列として表したものである。